第34回出雲駅伝区間予想【順天堂大学編】
はじめに
順天堂大学は、箱根駅伝で4連覇含む11回の総合優勝、全日本大学駅伝で1回の優勝を誇る駅伝の強豪校である。学生三大駅伝最後の優勝は2007年の箱根駅伝で、5区で"山の神"と呼ばれた今井正人や10区区間新記録を更新した松瀬元太ら強力なランナーがそろっていた。その時の優勝メンバーで、9区区間賞を獲得した長門俊介が現在の監督である。
出雲駅伝は、1999~2001年まで3連覇を達成しているが、その後優勝は無い。今年は4年生を中心に充実の布陣が揃い、久しぶりの優勝が期待される。
区間配置の傾向
出雲駅伝は通称スピード駅伝と呼ばれ、他の三大駅伝と比較して走行距離が短い。
【出雲駅伝(45.1km)】
1区8.0kmー2区5.8kmー3区8.5kmー4区6.2kmー5区6.4kmー6区10.2km
【全日本大学駅伝(106.8km)】
1区9.5kmー2区11.1kmー3区11.9kmー4区11.8km
5区12.4kmー6区12.8kmー7区17.6kmー8区19.7km
【箱根駅伝(217.1km)】
1区21.3kmー2区23.1kmー3区21.4kmー4区20.9kmー5区20.8km
6区20.8kmー7区21.3kmー8区21.4kmー9区23.1kmー10区23.0km
距離が短い駅伝なだけに、前半で遅れたチームが後半巻き返すのはなかなか難しく、前半区間に力のある選手を配置するのがセオリーとなりつつある。一方、外国人留学生などの大砲を持っているチームは、アンカーにその大エースを添えて、前半区間で耐えてラストで逆転するオーダーを組む場合もある。
順天堂大の区間予想をするうえで欠かせないのが三浦龍司の起用法である。三浦は東京五輪3,000m障害で日本人初の7位入賞を果たした学生オリンピアン。彼の主戦場はトラックで、既に世界に目が向いているため、学生駅伝をどこまで走らせるのかが様々なところで議論されている。3,000mの距離が彼の主戦場であるため、10km以上の距離を走る全日本大学駅伝や、20kmの距離になる箱根駅伝は思い出参加でいいのではないか。そんな外野の声がちらちら聞こえる。
ちなみに昨年は出雲駅伝は欠場した。しかしながら本来の彼の距離適性に最も近いのはこの出雲駅伝であり、今年は出してくるのではないかと考えている。また今年の4年生は下級生のころから主力を張っていた選手が多く、上級生が多めのオーダーになるのかなと考えている。
区間予想
以上を踏まえたうえで、各区間の区間予想をしてみる。なお、既に発表された今回のエントリーメンバーは以下の通り。この10名の中から6人が走ることになる。
【4年生】伊豫田達弥、四釜峻祐、西澤侑真、野村勇作
【3年生】石井一希、内田征治、三浦龍司
【2年生】油谷航亮、堀越翔人
【1年生】石岡大侑
●1区予想:伊豫田達弥
三浦と迷ったが、前回と同様1区を予想。前回1区3位、全日本は3区3位、箱根3区3位と実力は疑いようがなく、安心して1区を任せられる選手と言えるだろう。伊豫田が3区でも全然問題ないのだが、今回は三浦を3区に据えると予想したため1区に彼を予想した。
距離が短い出雲は1区の重要性が他の三大駅伝と比較して高いので、昨シーズン男女混合駅伝も含めて駅伝での失敗が全くない彼は適任か。
●2区予想:野村勇作
2区は個人的には2年生の油谷を起用してみたかったのだが、2016年栃木渡、2019年藤曲寛人、2021年平駿介と、それなりの安心感が求められる選手が走っている傾向がある。そうすると浮上するのが野村である。
本来は順天堂大学のエース選手の1人なのだが、ここ1年ほどは「彼にしては」納得のいかない試合結果が続いていると見受けられる。しかし、やはり彼には2区が似合う。本来序盤で流れを作るのが得意な選手なので、復活も賭けて2区。
●3区予想:三浦龍司
東京五輪代表のスーパースター。筆者の友人の中で陸上に明るくない人たちも、五輪をきっかけに三浦の名前を覚えたと言う人は多い。
基本三浦はこれまで1区を中心に走ってきた。1年生の頃は全日本&箱根は両方1区。前回の全日本は、1区が第一候補だったが、三浦自身の「新たなレース展開を経験したい」という希望で2区を走った。箱根も当初1区を走る予定だったが、2区を走る予定だった野村勇作の調子が上がらず急遽三浦が走ることになったという噂。つまり基本1区ありきで区間考察される選手なのだ。
その中で今回なぜ3区を予想したかといえば、三浦がそれだけの走力を持ったエースであることと、ある程度自分でペースを形成する力を付けさせることである。これまでの三浦のレース展開は、中盤まで集団の中にいて、最後のスパートで後続を引き離すというもの。集団走になる1区ではそれが起こりやすいが、展開によっては単独走になったり前を追う展開になる3区を走らせることで、ある程度自分でペースを形成したり前半から攻めるレースを経験させ、もう一段上の選手にレベルアップしてほしい。そんな思惑が長門監督にあるんだろうと踏んで3区を予想した。
リオ五輪代表で三浦と同じく3,000障害をメイン種目とする先輩・塩尻和也も2年連続3区を走っているし、彼に続くという意味でも。
●4区予想:油谷航亮
ここまで上級生が続いたため、下級生を誰か1人は出すだろうと読んで油谷。彼は1,500mを主戦場とするスピードランナーで、今年の記録会も着順で結構上位を何度も獲得している。スピードランナーの下級生の出走と言えば昨年3,000m障害をメインとする服部壮馬も走っており、彼のデビューと重なる部分がある。
1,500mが主戦場である以上箱根のような長い距離は走らない気がするので、出てくるとしたらここか。
●5区:石井一希
昨年と同じ5区予想。ただし、「去年と同じだから」という理由で選んだわけではなく、他の区間のメンバーを考察していく中でこの5区に落ち着いた。
学生三大駅伝でガンガン主要区間を走っている柱の選手の一人であり、アクシデントが無い限りは間違いなく出てくるであろう選手。
●6区:四釜峻祐
最長区間&アンカーといえばもう四釜しかいないだろうと言うくらい、アンカーが非常に似合う選手。昨年も6区を走って区間4位、全日本大学駅伝アンカー8区で区間2位、箱根駅伝5区(往路のアンカー)で区間5位と、実績&経験共に申し分なし。
色々な方が区間予想をしていると思うが、多分予想したほとんどの人が彼を6区に置いてるんだろうと思う。
区間予想まとめ
●1区予想:伊豫田達弥
●2区予想:野村勇作
●3区予想:三浦龍司
●4区予想:油谷航亮
●5区予想:石井一希
●6区予想:四釜峻祐
ちなみに個人的な話だが、筆者は職場の後輩と「出雲の区間予想を当てたらコーヒーとプレミアムロールケーキを買ってもらう」という契約を交わしている。
見事的中させ、分析力の証明と優雅なコーヒータイムを手に入れたいものだ。