第34回出雲駅伝区間予想【國學院大学編】

 

はじめに

 國學院大学は、陸上部自体は比較的古くから活動しているが、駅伝の実績という点においては2000年代になって頭角を現してきた、比較的新しい大学。特に現在の監督である前田康弘が就任した2009年以降、箱根駅伝2011で初のシード権獲得、箱根駅伝2020は過去最高の総合3位、出雲駅伝2019は優勝を飾るなど、強豪校とも渡り合えるだけの力を付けてきた。

 

前田康弘・國學院大学陸上競技部監督

 

 出雲駅伝は2019年から(コロナで中止になった2020年大会を除き)出場を続けている。出雲2019年優勝&箱根2020年3位の中心選手だった浦野雄平、土方英和、青木祐人、藤木宏太といった中心選手がここ2年でごっそり抜けたが、下級生を中心に選手が順調に育っており、優勝校の一角である。

 

 

区間配置の傾向

 出雲駅伝は通称スピード駅伝と呼ばれ、他の三大駅伝と比較して走行距離が短い。

 

出雲駅伝(45.1km)】

 1区8.0kmー2区5.8kmー3区8.5kmー4区6.2kmー5区6.4kmー6区10.2km

 

全日本大学駅伝(106.8km)】

 1区9.5kmー2区11.1kmー3区11.9kmー4区11.8km

 5区12.4kmー6区12.8kmー7区17.6kmー8区19.7km

 

箱根駅伝(217.1km)】

 1区21.3kmー2区23.1kmー3区21.4kmー4区20.9kmー5区20.8km

 6区20.8kmー7区21.3kmー8区21.4kmー9区23.1kmー10区23.0km

 

 距離が短い駅伝なだけに、前半で遅れたチームが後半巻き返すのはなかなか難しく、前半区間に力のある選手を配置するのがセオリーとなりつつある。一方、外国人留学生などの大砲を持っているチームは、アンカーにその大エースを添えて、前半区間で耐えてラストで逆転するオーダーを組む場合もある。

 國學院大學の過去の区間配置を見ると、3区にエース。それも、単純な走力だけでなくチームをけん引できるような選手を置いている(浦野雄平&藤木宏太)、繋ぎの区間と言われる4区にも中西大翔や青木祐人などの実力者を配置して、結構重要視している節がある。

 

 

区間予想

 以上を踏まえたうえで、各区間区間予想をしてみる。なお、既に発表された今回のエントリーメンバーは以下の通り。この10名の中から6人が走ることになる。

 

 【4年生】川崎康生、坂本健悟、中西大翔、藤本竜

 【3年生】伊地知賢造

 【2年生】平林清澄、山本歩

 【1年生】青木瑠郁、上原琉翔、嘉数純平

 

 

●1区予想:山本歩

 

山本歩夢(2年生)

 

 エースと言われてもそん色ない実績を積み上げる2年生。10,000mでは28分41秒の自己記録を持ち、夏のホクレンディスタンスでも28分46秒で走るなど好調を維持。5,000mは13分46秒の自己記録でスピードにも磨きをかけた。

 前回の箱根駅伝は3区に登場し、1時間2分を切る好記録で区間5位。出雲の1区はスタート直後の下り坂から始まるスピードの出やすい区間で、3区のイメージとも重なる。実力的にも区間賞候補。

 

 

●2区予想:青木瑠郁

 

青木瑠郁(1年生)



 今季U20日本選手権&7月の記録会で5,000mで13分台を連発している期待のルーキー。同じくルーキーでエントリーされた上原や嘉数も期待の選手だが、現状青木が一歩リードしているのではないか。

 スピードのある選手であることや、過去に前田監督が当時1年生の中西大をここに配置していることから2区予想。

 

 

●3区予想:伊地知賢造

 

伊地知賢造(3年生)

 

 昨年の全日本大学駅伝は8区、箱根駅伝は2区と、エース区間を任されてきた選手。國學院大學のエースはお前なんだという前田監督の熱いメッセージを感じる。関東インカレのハーフで優勝するなど、着実に実力をつけてきている上にロード適正も十分。昨年はアップダウンのある5区を担当したが、今年はエース区間の3区で勝負させるのでは。

 

 

●4区予想:中西大翔

 

中西大翔(4年生)

 

 前回と同じく4区予想。前回大会も区間2位と好走していることから、ここは変えなくてもいいのではないか。前田監督は過去に4区に青木祐人を配置していることから同区間を結構重要視している節があり、今年もそのまま中西で行くのでは。

 

 

●5区:坂本健悟

 

坂本健悟(4年生)

 

 4年生の坂本を5区予想。今年になって10,000mの自己記録を更新。直前の日体大記録会でも自己ベストに近い28分56秒71で走り調子を維持している。多分この日体大記録会が出雲の最終調整だったのだろうか?それを考えると10km走る6区起用もありそうだが、ハーフを主戦場にするロード向きの選手だと捉えているので、アップダウンがある5区を任せるのではないか。

 

 

●6区:平林清澄

 

平林清澄(2年生)

 

 実力的には3区あたりで見たい選手ではあるのだが、昨年の出雲6区の果敢な攻めが忘れられない。序盤から爆走し青学&東洋を置き去りにし、先頭を走るヴィンセントを追い続けた捨て身の爆走は感動すら覚えた。結局序盤のハイペースが仇となり青学&東洋に終盤で逆転されてしまったのだが、果敢に前を終える精神力は他チームの脅威となるだろう。

 また、年明けの箱根駅伝では9区を走り、またしても後方から爆走して追い上げる走りを見せた。1区&3区を任せられる選手が他にいるので、ゲームチェンジャーとなりうるエースの平林をアンカーで使えるのは大きい。

 

 

区間予想まとめ

 

●1区予想:山本歩

●2区予想:青木瑠郁

●3区予想:伊地知賢造

●4区予想:中西大翔

●5区予想:坂本健悟

●6区予想:平林清澄

 

 ちなみに個人的な話だが、筆者は職場の後輩と「出雲の区間予想を当てたらコーヒーとプレミアムロールケーキを買ってもらう」という契約を交わしている。

 見事的中させ、分析力の証明と優雅なコーヒータイムを手に入れたいものだ。