第34回出雲駅伝区間予想【東洋大学編】

 

はじめに

 東洋大学は、現在の駅伝勢力図において、青山学院大学駒澤大学らと覇権争いを繰り広げている駅伝の強豪校。

 2007年までは学生三大駅伝通して優勝に縁がなく、シード争いを繰り広げるくらいのチームだった。ところが翌2008年、「箱根駅伝1区で佐藤悠基に唯一付いていった大西智也に惹かれた」と言う柏原竜二が、現監督・酒井俊幸の手引きもありチームに加入してから黄金時代が始まる。

 

酒井俊幸・東洋大学陸上競技部駅伝監督

 

 柏原は1年生の箱根駅伝で5区を走り、「今後10年は破られないだろう」と言われていた今井正人区間記録を更新。そのまま東洋大学は初優勝を果たした。その後も設楽啓太・悠太兄弟や服部勇馬・弾馬兄弟、大津顕杜、高久龍、山本憲二・修二兄弟、相澤晃、西山和弥など数多くの実力者を擁し黄金時代を築き、箱根駅伝は17年連続でシード権を獲得中である。

 

 

区間配置の傾向

 出雲駅伝は通称スピード駅伝と呼ばれ、他の三大駅伝と比較して走行距離が短い。

 

出雲駅伝(45.1km)】

 1区8.0kmー2区5.8kmー3区8.5kmー4区6.2kmー5区6.4kmー6区10.2km

 

全日本大学駅伝(106.8km)】

 1区9.5kmー2区11.1kmー3区11.9kmー4区11.8km

 5区12.4kmー6区12.8kmー7区17.6kmー8区19.7km

 

箱根駅伝(217.1km)】

 1区21.3kmー2区23.1kmー3区21.4kmー4区20.9kmー5区20.8km

 6区20.8kmー7区21.3kmー8区21.4kmー9区23.1kmー10区23.0km

 

 距離が短い駅伝なだけに、前半で遅れたチームが後半巻き返すのはなかなか難しく、前半区間に力のある選手を配置するのがセオリーとなりつつある。一方、外国人留学生などの大砲を持っているチームは、アンカーにその大エースを添えて、前半区間で耐えてラストで逆転するオーダーを組む場合もある。

 で、肝心の区間予想なのだが、マジで分からない。一応3区がエース、6区はハーフマラソン向きの選手、1区はこの後の全日本&箱根でも1区が予想されそうな選手という傾向は感じ取れるのだが、今回は

 

 

 

区間予想

 以上を踏まえたうえで、各区間区間予想をしてみる。なお、既に発表された今回のエントリーメンバーは以下の通り。この10名の中から6人が走ることになる。

 

 【4年生】前田義弘、児玉悠輔

 【3年生】奥山輝、佐藤真優

 【2年生】吉田周、石田洸介、甲木康博、梅崎蓮

 【1年生】西村真周、緒方澪那斗

 

 

●1区予想:奥山輝

 

奥山輝(3年生)

 

 勇気の児玉外し。東洋大学の1区といえば、ほぼ全員が児玉と答えると思う。1区といえば児玉。例えば3年前に「東洋の箱根6区は?」と聞けば10人が10人今西駿介と答えるし、10年前に「東洋の箱根5区は?」と聞けば10人が10人柏原竜二と答えると思う。児玉もそのレベルで1区のイメージが定着している選手。

 今回児玉を外した理由として大きいのが、松山の不在と石田の練習がどれだけつめているか?後で出てくるんだが今回児玉は3区に予想。そうすると候補に挙がるのが奥山である。

 前回は2区を走り9位。その後10,000mで自己記録を更新し、昨年よりは間違いなくレベルアップしている。元々昨年の箱根でも1区を希望していた選手なので、そのあたりも見据えて。

 

 

●2区予想:甲木康博

 

甲木康博(2年生)

 

 主に1,500mを主戦場にするスピードランナー。この選手は前述のとおり1,500mを主戦場とすることから、箱根のような長い距離を走る駅伝には恐らく出てこない。他大学では東海大学の飯澤千翔のようなイメージか。その中でエントリーメンバーに入っていたので、ある程度出走を考えているのでは?

 となると最も可能性があるのがスピードが出やすい2区。4&5区も距離的に考えられるが、共に向かい風になることが多いうえに5区はアップダウンがあるタフなコースなので、2区が無難か。

 

 

 

●3区予想:児玉悠輔

 

児玉悠輔(4年生)

 

 

 1区予想でも述べたように、今回児玉は3区に予想。本来はエース松山が3区に入るはずだったんだろうが、怪我の影響か不在。石田は夏合宿でほぼほぼメニューを消化できたという報道が出てるが、一部では直近で距離を積めるようになったという話(噂?)も。噂を鵜呑みにするわけではないが、長距離区間には出さないんじゃないか。そうすると3区は去年も走った前田か児玉になるんだが、酒井監督が児玉は1区以外でも強い的な雰囲気をほのめかしていたので、安パイを外し3区に児玉を大胆予想する。

 筆者は2021年の箱根駅伝でも、ほとんどの予想が1区西山和弥だったのに対し7区西山説を提唱し、見事的中させた過去がある。今回もその再現をする。

 

 

 

●4区予想:前田義弘

 

前田義弘(4年生)

 

 どんなレースでも合格点の結果を出す東洋大学の仕事人。爆走&独走することは少ない選手だが、この選手の持ち味はそこではなく、大きく崩れることは無い安定感。いわば計算が非常にしやすい選手である。

 前回は3区を走ったが、今回は長い距離の練習をそこまで積めていないのかな?と判断し4区予想。関東インカレ以降あまり試合に出ていなかったが、先日酒田で5,000mをしっかり走れていたので6.2kmなら問題ないだろう。ちなみに4区は前田と1年生の西村で非常に迷ったが、安定感で分がある前田を予想した。

 

 

 

 

●5区:石田洸介

 

石田洸介(2年生)

 

 昨年と同じ。夏合宿でメニューをほぼこなせたという報道記事を以前拝見し、今年は昨年以上のパフォーマンスが期待される。エース区間の3区起用も十分考えたのだが、トラックレースにほとんど出ていないところが若干気になる。序盤から押していく石田のランニングスタイル的にも距離的にも5区の適性がありそうだし、過去に5区を走った野村峻哉や今西駿介など、酒井監督は5区で好走した選手を翌年も使う傾向がある。現在の個人&チーム状況を見ても、今年も石田なのかな。

 

 

 

●6区:梅崎蓮

 

梅崎蓮(2年生)

 

 同学年の石田が大きな注目を集める中で、ハーフマラソンを中心に存在感を高めているのがこの梅崎。何か昨年柏が起用されたときと近い匂いを感じる。

 長い距離におけるロードの適応力は東洋大学の中でも上位に入るものを感じるので、今後の彼の成長の意味を込めても6区に起用したい願望が入っている。

 

 

区間予想まとめ

 

●1区予想:奥山輝

●2区予想:甲木康博

●3区予想:児玉悠輔

●4区予想:前田義弘

●5区予想:石田洸介

●6区予想:梅崎蓮

 

 ちなみに個人的な話だが、筆者は職場の後輩と「出雲の区間予想を当てたらコーヒーとプレミアムロールケーキを買ってもらう」という契約を交わしている。

 見事的中させ、分析力の証明と優雅なコーヒータイムを手に入れたいものだ。