第34回出雲駅伝区間予想【帝京大学編】

 

はじめに

 帝京大学陸上競技部は、出雲駅伝出場8回、箱根駅伝出場23回を誇る駅伝の競合である。特に現監督の中野孝行が監督に就任した2006年以降、高校時代さほど知名度が無かった選手を育て上げ、現在は安定してシード権を獲得するほどのチームになっている。

 

中野孝行・帝京大学駅伝競走部監督

 

 中野監督は「学生駅伝は学年が上がるにつれ成長し、4年生になったときに集大成を迎えるのが理想的な学生スポーツ」の心情を持つ。今大会も確かな育成力に裏付けされた選手たちが駆け抜けるか。

 

 

区間配置の傾向

 出雲駅伝は通称スピード駅伝と呼ばれ、他の三大駅伝と比較して走行距離が短い。

 

出雲駅伝(45.1km)】

 1区8.0kmー2区5.8kmー3区8.5kmー4区6.2kmー5区6.4kmー6区10.2km

 

全日本大学駅伝(106.8km)】

 1区9.5kmー2区11.1kmー3区11.9kmー4区11.8km

 5区12.4kmー6区12.8kmー7区17.6kmー8区19.7km

 

箱根駅伝(217.1km)】

 1区21.3kmー2区23.1kmー3区21.4kmー4区20.9kmー5区20.8km

 6区20.8kmー7区21.3kmー8区21.4kmー9区23.1kmー10区23.0km

 

 距離が短い駅伝なだけに、前半で遅れたチームが後半巻き返すのはなかなか難しく、前半区間に力のある選手を配置するのがセオリーとなりつつある。一方、外国人留学生などの大砲を持っているチームは、アンカーにその大エースを添えて、前半区間で耐えてラストで逆転するオーダーを組む場合もある。

 今年の帝京大学は、遠藤大地、橋本尚斗、中村風馬などのエース級選手がごっそり抜けて、チーム再編の時期にあると言える。期待の1年生の調子もよく、下級生を積極起用したオーダーになるか。また9月の日体大記録会に多数選手が出走しており、最後の見極めをこの大会でしていたのではないか。この記録会で結果を出した選手は、出雲にも出てくる可能性が高いか。

 

 

区間予想

 以上を踏まえたうえで、各区間区間予想をしてみる。なお、既に発表された今回のエントリーメンバーは以下の通り。この10名の中から6人が走ることになる。

 

 【4年生】大花将太、吉岡尚紀

 【3年生】小野隆一朗、末次海斗、西脇翔太

 【2年生】福島渉太、福田翔、山中博生

 【1年生】柴戸遼太、藤本雄大

 

 

●1区予想:小野隆一朗

 

小野隆一朗(3年生)

 

 小野は過去に出場した出雲、全日本、箱根でことごとく1区を走っている。1年生の頃は1区で結果が出ないこともあったが、それでも中野監督は1区を走らせ続けた。

 3区候補だった北野の欠場で3区起用も考えられるが、ここまでの頑なな1区起用を見ると小野を1区で使いたい中野監督の強い意志を感じる。理屈じゃない。小野は1区なのだ。

 

 

●2区予想:藤本雄大

 

藤本雄大(1年生)



 帝京期待の1年生の1人。全日本大学駅伝でも出走メンバーに入ったり、9月に行われた日体大記録会5,000mでは10組で城西大学OBの砂岡拓磨に次ぐ2位に入った。同組には帝京大学の柴戸遼太や福島渉太、福田翔、吉岡尚紀、末次海斗、大花将太など出雲駅伝出走メンバーも出走していたが、藤本はその面々の中で最上位でゴールしている。

 調子上向きと見て、三大駅伝デビューするのではないか。

 

 

●3区予想:西脇翔太

 

西脇翔太(3年生)

 

 現状の帝京大学のエースは誰かと言えば、小野、北野、西脇あたりになるだろうか。北野が今大会不出場なので、エース区間の3区は西脇が妥当か。

 10,000mの自己記録が28分台の選手は帝京大学に3人しかいないが、その中の1人。いずれにしても長距離区間での起用となるだろう。

 

 

●4区予想:福島渉太

 

福島渉太(2年生)

 

 帝京に3人しか28分台ランナーの1人。もとより走力が高いのと、9月の日体大記録会でも10組4位に入っていることから、調子上向きと見て順当に出走メンバー入りするのではないだろうか。

 3区と4区の2区間でエース区間と捉え、4区に準エースの福島の起用を予想する。

 

 

●5区:柴戸遼太

 

柴戸遼太(1年生)

 

 期待のルーキーの1人。今回帝京大は柴戸、藤本の2人の1年生が出場しているが、今回は2人とも出てくるのではないか。

 9月の日体大記録会では藤本に次ぐ3位に入り好調をアピールした。全日本大学駅伝の予選会でも3組で出走するなど、中野監督が彼を主力として起用していきたい意図を感じる。

 

 

●6区:大花将太

 

大花将太(4年生)

 

 最長区間の6区に4年生の大花を予想。記録会は10,000mの出場が多く、長い距離の練習を詰めていることからアンカーを任せてくるのでは。ここまで学生三大駅伝の出場は無いものの、今年かなり伸びた選手なので満を持して登場してくるか。

 

 

区間予想まとめ

 

●1区予想:小野隆一朗

●2区予想:藤本雄大

●3区予想:西脇翔太

●4区予想:福島渉太

●5区予想:柴戸遼太

●6区予想:大花将太

 

 ちなみに個人的な話だが、筆者は職場の後輩と「出雲の区間予想を当てたらコーヒーとプレミアムロールケーキを買ってもらう」という契約を交わしている。

 見事的中させ、分析力の証明と優雅なコーヒータイムを手に入れたいものだ。