第34回出雲駅伝区間予想【法政大学編】
はじめに
法政大学陸上部は、1919年に創立。箱根駅伝の出場回数は歴代4位の82回出場を誇る名門である。2000年代前半は、箱根本選には出場するもののシード獲得には届かない状態がしばらく続いていたが、2012年に現在の監督である坪田智夫がコーチとして加入してから徐々にチーム力が底上げされていく。
2017~2019年は、後に東京オリンピックの代表選手となる坂東悠汰や青木涼真らを中心に3年連続で箱根シード権を獲得。翌年は再びシードを逃すが、前回大会でアンカー10区で東海大学を逆転し、3年ぶりのシード権を獲得するなど力を付けている。その時の出走メンバー10人中8人が現在もチームに残っていることから、今年の駅伝シーズンは台風の目として注目されている。
区間配置の傾向
出雲駅伝は通称スピード駅伝と呼ばれ、他の三大駅伝と比較して走行距離が短い。
【出雲駅伝(45.1km)】
1区8.0kmー2区5.8kmー3区8.5kmー4区6.2kmー5区6.4kmー6区10.2km
【全日本大学駅伝(106.8km)】
1区9.5kmー2区11.1kmー3区11.9kmー4区11.8km
5区12.4kmー6区12.8kmー7区17.6kmー8区19.7km
【箱根駅伝(217.1km)】
1区21.3kmー2区23.1kmー3区21.4kmー4区20.9kmー5区20.8km
6区20.8kmー7区21.3kmー8区21.4kmー9区23.1kmー10区23.0km
距離が短い駅伝なだけに、前半で遅れたチームが後半巻き返すのはなかなか難しく、前半区間に力のある選手を配置するのがセオリーとなりつつある。一方、外国人留学生などの大砲を持っているチームは、アンカーにその大エースを添えて、前半区間で耐えてラストで逆転するオーダーを組む場合もある。
法政は(スタッフの関係もあるだろうが)基本前半区間に主力を惜しみなく投入してくる。特に1区は坂東悠汰や鎌田航生などの箱根2区経験者が走ることが多い超積極オーダーである。しかしながら今年は戦力が充実して、後半区間にも力のある選手を配置できるようになってきた。
区間予想
以上を踏まえたうえで、各区間の区間予想をしてみる。なお、既に発表された今回のエントリーメンバーは以下の通り。この10名の中から6人が走ることになる。
【4年生】内田隼太、扇育、中園慎太朗、松本康汰
【3年生】稲毛崇斗、松永怜
【2年生】小泉樹、武田和馬、宮岡幸大
【1年生】清水郁杜
●1区予想:松永怜
3年生の、準エースと言っていいであろう松永を1区予想。出雲の1区は箱根&全日本以上に序盤の出遅れが許されないためキャプテンの内田も考えたが、内田を別区間で起用したい意向と彼の成長を鑑みて1区に予想。
直近3出場の1区は坂東悠太→坂東悠太→鎌田航生と、箱根で2区を走るような選手が起用されており、エースの階段を上る一歩となるか。
●2区予想:松本康汰
スピード感溢れる4年生。5,000mの自己記録は内田に次ぐ2位で、しっかり13分台の記録を持っている。出雲の2区は出遅れが許されない区間なので、箱根&全日本の出走経験もある4年生を配置してくるのでは。
●3区予想:内田隼太
現状の法政大学のエースと言えば内田になるだろう。箱根駅伝は1区を走っており、1区の重要性が強い出雲駅伝なだけに1区出走も十分あるのだが、他校のエースと渡り合うために彼をぶつけてくるか。
●4区予想:小泉樹
実は春先に予想した時は、彼を3区で内田を1区に配置してくるのではと考えていた。小泉は1年生から箱根駅伝の往路3区に出場し、中心選手に育てたいという坪田監督の意向を感じる。
夏場の怪我明けということもあり、今回は繋ぎの区間である4区あたりに出てくるのでは。
●5区:稲毛崇斗
ロードに強い3年生。今年は10,000mやハーフマラソンなど長い距離のレースに出場していることから最長区間であるアンカー6区も候補だが、箱根駅伝で8区を走ったことによるアップダウンへの適性を鑑みて5区を予想した。
●6区:中園慎太朗
4年生の主力選手の1人。坪田監督が「経験豊富な上級生を中心に戦う」と発言していたことから、彼も有力候補の一人となる。彼も稲毛と同様、ハーフマラソンや10,000mなどの長い距離を主戦場としており、箱根駅伝は7区で区間8位と一桁順位で走っていることから間違いなく主力の1人である。
区間予想まとめ
●1区予想:松永怜
●2区予想:松本康汰
●3区予想:内田隼太
●4区予想:小泉樹
●5区予想:稲毛崇斗
●6区予想:中園慎太朗
ちなみに個人的な話だが、筆者は職場の後輩と「出雲の区間予想を当てたらコーヒーとプレミアムロールケーキを買ってもらう」という契約を交わしている。
見事的中させ、分析力の証明と優雅なコーヒータイムを手に入れたいものだ。