【駒澤大学】箱根駅伝区間予想

 

戦力分析&エントリー状況

 出雲、全日本を独走で制し、圧倒的な選手走を誇る駒澤大学。昨年1区区間2位の唐澤拓海(3)、過去2回箱根を走っている白鳥哲太(3)、ハーフマラソン62分台の記録を持つ赤津勇進(3)、昨年の全日本大学駅伝優勝メンバーの東山静也(4)が外れたが、大エースの田澤廉(4)、キャプテンの山野力(4)、怪我から復活した鈴木芽吹(3)など充実の布陣である。

 

【4年生】小野恵崇、田澤廉、円健介、山野力

【3年生】青柿響、赤星雄斗、金子伊吹、鈴木芽吹、花尾恭介、安原太陽

【2年生】篠原倖太朗、吉本真啓

【1年生】伊藤蒼唯、帰山侑大、佐藤圭汰、山川拓馬

 

大八木弘明監督

 

区間予想

1区(21.3km):円健介(4)

 4年目にして遂に覚醒した苦労人。全日本でも1区で好走、上尾ハーフで1:01:51の自己記録を叩き出すなど調子は絶好調で、ハーフの距離も全く問題ないことを証明した。本人も1区を希望しているという。もちろん個人が希望したからと言って通るわけではないのだか、1区を走れるだけの結果を出し続けている。その他の候補としては篠原や花尾が挙げられる。

 

2区(23.1km):田澤廉(4)

 押しも押されぬ学生最強の大エース。本人は「自分は3区のほうが適性がある」として3区を走りたがっているが、エースは2区という大八木監督の愛の鞭で大方の予想通り2区に来るか。「世界と戦うんなら2区でしっかり勝負してこい!」とか言われてそう(笑)しかしながら、3区のほうが得意と言いながら2区でも普通に強く、前回の箱根で歴代4位の記録を叩き出した。今年は区間新記録も十分狙える。その他の候補は、2年時2区出走が予定されていたと噂される鈴木、あるいは花尾もあり得るか。

 

3区(21.4km):佐藤圭汰(1)

 洛南高校時代、1,500m、3,000m、5,000mで高校記録を塗り替え入学してきたスーパールーキー。出雲&全日本では共に2区に出走し爆走した。20km近い距離を走る箱根は彼の適性的にどうなのかとの声もあったが、エントリーしてきたということは走らせるという意思の表れだろう。30km走もこなしてるみたいだし。走らせるなら前半で流れを作れる3区が有力だと考える。その他の候補は鈴木、花尾、最近絶好調と噂の青柿。

 

4区(20.9km):鈴木芽吹(3)

 田澤に次ぐ実力を持ちながら怪我で走れない日々が続いたが、出雲6区区間賞で涙の復活を果たしたもう一人のエース。本人も「2区か4区」と分析しているように、この2区間のいずれかに来る可能性が高く、2区が田澤なら4区は芽吹だろうという判断。その他の候補は昨年4区を走った花尾や、佐藤、アップダウンに強そうな山川も候補になりそう。

 

5区(20.8km):金子伊吹(3)

 昨年5区区間4位。東海大OB西田壮志の2年生の頃の記録とほぼ同じタイムで走っており、上りの適性が非常に高い。1年生の山川も候補だが、激坂王を両者が回避(既に5区争いは決着していた?)ことや、金子が他のレースに全然出ていない(箱根5区1本に絞り練習を重ねていた?)ことから金子予想。ただ全日本4区区間賞の山川も全然あり得る。

 

6区(20.8km):篠原倖太朗(2)

 昨年は6区にエントリーされていた篠原。コンディション不良による当日変更で出走は叶わなかったが、今年は問題なく走るんじゃないだろうか。なお、この選手は平地を走らせても普通に強いのだが、他の選手との兼ね合いで6区に。駒大の6区は(特に近年)本当に読めなくて、一昨年の花崎、昨年の佃を予想できた人はほとんどいなかったんじゃないだろうか。その他の候補は小野、帰山、ワンチャン青柿もあるか。

 

7区(21.3km):安原太陽(3)

 出雲&全日本は後半区間をしっかり走り、総合優勝に貢献。昨年は3区で苦しい走りになったが、今年はハーフでも着実にタイムを伸ばしており、繋ぎの区間をしっかり走ってくれるだろう。元々スピードは駒大の中でもトップクラスのものを持っているので、箱根の中では比較的走りやすいとされている7区を任せたい。その他の候補は花尾、鈴木、あるいは1年生伊藤の大抜擢もあるかも。

 

8区(21.4km):山川拓馬(1)

 5区予想でも触れた山川。全日本では4区に登場。田澤や花尾、山野、佐藤などオールスターが揃う中で「付け入る隙があるなら4区山川だろう」と他校が分析する中それを覆す区間賞を獲得し、駒大の底知れぬポテンシャルに驚愕した。8区は後半の遊行寺坂をはじめ上り基調のコースで、上りに自信がある山川は適任だと考えている。個人的なことだが筆者が長野県出身なので、鈴木芽吹と共に大いに期待している(鈴木は長野県佐久長聖高校出身、山川は長野県上伊那農業高校出身)。その他の候補は先日ハーフ62分台を出した赤星、もしくは昨年5区希望の噂のあった安原、花尾あたり。

 

9区(23.1km):山野力(4)

 今年9区を走れば3年連続。前回は9区4位と好走しており、今年も走りそう。本人は5区への憧れを語っていたが、最大のライバルである青山学院が9区区間記録保持者の中村唯翔を出してくる可能性が高く、彼と競った展開になったときに対応できるのは復路のメンバーの中では山野だろうということ。大八木監督は9区を裏エース区間と捉え、過去に高林や窪田、上野、片西などのエース級を惜しみなくつぎ込んでいる。山野はハーフマラソンの学生記録を持っている"距離が長いほど強くなるランナー"であり、23.1kmという距離を考えてもここが適任だと考える。その他の候補は鈴木、花尾ら。

 

10区(23.0km):花尾恭介(3)

 全日本2年連続アンカー8区で優勝のテープを切っている職人ランナー。昨年の全日本は青学飯田との一騎打ちに勝利、今年は7区までにチームが大幅リードを奪い終始単独走になったが、攻めの走りを貫いて区間賞を獲得している。様々な展開に対応できる適応力と、恐らく今年も出てくるであろう青学・中倉啓敦に対抗するために後半を厚くしたい?その他候補は、昨年10区の青柿、他区間の配置次第では円、篠原あたりもあり得る。

 

個人的キーマン

花尾恭介(3)

 昨年までの花尾の個人的な印象は「爆走はしないが大崩れもしない、繋ぎの区間を無難に走ってくれるランナー」だった。1人でも押していける本当の強さを今年1年で身に着けたと感じている。それどころか出雲は1区区間2位で、集団走に強いことも判明。これまでの区間予想の「その他候補」で何度も名前が出ているように、どの区間を走らせても確実に仕事をしてくれると思わせる選手である。今年の調子なら2区だって問題なく走れると思う。

 

区間予想10人以外の注目選手

青柿響(3)

 前回10区で区間7位と粘り、総合3位のゴールテープを切った。全日本にも出走経験がある。今年は11月の上尾ハーフで1:02:44と62分台ランナーの仲間入り。前回箱根終了後に大八木監督から「スピードはあるがスタミナが足りない」と評されていたが、今年はしっかりスタミナもつけている。他チームであれば間違いなく出走メンバー10人に入るであろう青柿が当落線上というのが駒大の層の厚さを物語っている。

 

小野恵崇(4)

 過去に学生駅伝の出場経験がなく、(駒大基準で)飛びぬけたタイムを持っている訳でもない。こういった選手が突然エントリーされるのは特殊区間である5区or6区に特化した選手であることが多く、特に山下りの6区である可能性が極めて高い。駒大の6区は前前回の花崎、前回の佃と予想外のメンバーが出走(特に佃は上りに強い選手という評価だったので、むしろ6区よりも5区を予想する人が多かった)。結果、花崎は歴代3位の記録で区間賞、佃も58分台の区間6位と好走した。小野が大八木監督が見出した6区のスペシャリストだとしたら、とんでもない爆走を本番で見せてくれるかもしれない。

 

伊藤蒼唯(1)

 夏合宿の練習メニューをパーフェクトにこなした選手として、大八木監督から山川とともに名指しで絶賛されていた伊藤。出雲&全日本にもエントリーされて、出走の噂が立ちまくっていたものの結局出走することは無かった。しかしハーフの距離は非常に強いと戦前から評判。更に11月の日体大記録会10,000mでは実業団選手に交じりレースに出場し、自己記録となる28:28:15で組4位に入るなど絶好調。同期の佐藤や山川が既に駅伝で活躍し、闘争心も燃え滾っているだろう。