第34回出雲駅伝区間予想【創価大学編】

 

はじめに

 創価大学は、1972年に創部され、箱根駅伝予選会にもたびたび出場していたが本選出場はならず、2014年に初出場するまで実に42年の月日を費やした。その後2019年、現役時代は中央大学のスター選手だった榎木和貴を監督に招き入れ、翌2020年の箱根駅伝では初のシード権獲得。2021年箱根駅伝は初出場からわずか4回で往路優勝。復路10区で駒澤大学に逆転を許したが総合2位を獲得し、一気に駅伝強豪校として名乗りを上げた。

 

榎木和貴・創価大学駅伝部監督

 

 前回の箱根駅伝2022もシード権を獲得。その時のメンバーが10人中8人残っており、今年はさらなる順位飛躍が期待される。

 

 

区間配置の傾向

 出雲駅伝は通称スピード駅伝と呼ばれ、他の三大駅伝と比較して走行距離が短い。

 

出雲駅伝(45.1km)】

 1区8.0kmー2区5.8kmー3区8.5kmー4区6.2kmー5区6.4kmー6区10.2km

 

全日本大学駅伝(106.8km)】

 1区9.5kmー2区11.1kmー3区11.9kmー4区11.8km

 5区12.4kmー6区12.8kmー7区17.6kmー8区19.7km

 

箱根駅伝(217.1km)】

 1区21.3kmー2区23.1kmー3区21.4kmー4区20.9kmー5区20.8km

 6区20.8kmー7区21.3kmー8区21.4kmー9区23.1kmー10区23.0km

 

 距離が短い駅伝なだけに、前半で遅れたチームが後半巻き返すのはなかなか難しく、前半区間に力のある選手を配置するのがセオリーとなりつつある。一方、外国人留学生などの大砲を持っているチームは、アンカーにその大エースを添えて、前半区間で耐えてラストで逆転するオーダーを組む場合もある。

 出雲駅伝は、留学生が1人までしか起用できない箱根&全日本とは異なり、外国人を2人使える。今回創価大学はフィリップ・ムルワ、リーキー・カミナという2人の超強い外国人が両方エントリーされている。ほとんどの場合、暗黙の了解的なやつで両方走ることは無いのだが、ルール上起用しても何ら問題ないし、むしろ本気で優勝を狙うなら使うべきであるとも言える。ポケモンに例えるなら、禁止級伝説ポケモンが2体まで使えるルールにおいて使わないことと同義である。

 また榎木監督の区間配置の傾向として、基本的に1区に日本人エースを置く傾向がある。このあたりも含めて区間考察していきたい。

 

 

区間予想

 以上を踏まえたうえで、各区間区間予想をしてみる。なお、既に発表された今回のエントリーメンバーは以下の通り。この10名の中から6人が走ることになる。

 

 【4年生】嶋津雄大、葛西潤、新家裕太郎、濱野将基、フィリップ・ムルワ

 【3年生】石井大揮

 【2年生】リーキー・カミナ

 【1年生】家入勇翔、石丸惇那、山下蓮

 

 

●1区予想:葛西潤

 

葛西潤(4年生)

 

 榎木監督の区間配置の傾向として、どの大会に関わらずチームの日本人エースを1区に投入してくる傾向がある。例えば創価大学が初めてシードを獲得した箱根駅伝2020では米満怜、翌年は福田悠一、今年は葛西潤と、その時点のチームの日本人で最も速いと評されていた選手が順当に1区を走っている。

 今のチームの日本人エースは葛西なので、ここはほぼ固いのではないか。

 

 

●2区予想:新家裕太郎

 

新家裕太郎(4年生)



 創価大学でスピードのある選手といえば、最有力は新家ではないだろうか。5,000mのタイムも13分台を持っているし、直近のレースでも5,000m14分代前半は当たり前の領域に入っている。

 何より前回の出雲駅伝も2区を走っており、経験値がある。走力は昨年より間違いなく上がっているので、昨年以上の走りが期待される。

 

 

●3区予想:フィリップ・ムルワ

 

フィリップ・ムルワ(4年生)

 

 創価大学のオーダーを考察するうえで最も頭を悩ませる外国人留学生問題。学生三大駅伝のうち、全日本&箱根は留学生を1人しか起用できないのだが、この出雲駅伝に関してはその限りではないため、起用しようと思えばムルワ&カミナの両採用が可能だ。しかし「外国人選手は1人まで」という暗黙の了解や、新戦力を試したいチーム事情などから両採用はなかなか実現しなかった。

 今大会も、どちらか1人しか使わないという前提のもとムルワを予想。単純に前回大会の区間賞であることや、カミナも相当な実力者だがまだムルワが上なのかなと判断した。

 

 

●4区予想:石丸惇那

 

石丸惇那(1年生)

 

 創価大学期待のルーキー。4月の日体大記録会の5,000mで自己ベストに近い13分58秒09を記録。その後夏合宿を経て、10月頭の日体大記録会で再び13分58秒47の記録を出し好調を維持している。多分このレースで記録を出したことで出雲出走のゴーサインが確定したのかなと。

 まだ1年生であることや距離適性も考えて4区予想。

 

 

●5区:石井大揮

 

石井大揮(3年生)

 

 今大会唯一の3年生エントリーとなった石井を5区予想。ハーフを走っているロード型の選手で、アップダウンの対応には適しているのかなと考えている。直前の日体大記録会では5,000mで自己ベストを更新しており、調子もかなりいいのでは。

 

 

●6区:嶋津雄大

 

嶋津雄大(4年生)

 

 箱根駅伝では2年時に10区で区間新記録、3年時は4区で区間2位(日本人1位)、4年時も4区で区間賞、箱根では日本人選手に負けなしと圧倒的な戦績を誇るロードの鬼。在学中に休学していた時期があったため、今年もう1年チームに残り共に戦っていく。長い距離においては抜群の安定感があり、エントリーメンバー入りした以上は出てくるのかなと考えている。

 また嶋津は、2年時の箱根でゴールテープを切った瞬間の、胸を突き出す動作。短距離選手がよくやる通称"トルソー"と呼ばれるフィニッシュシーンが実に印象的で、もう一度ゴールテープを切る姿を見てみたいという筆者の希望もスパイス程度に含まれている。

 

 

区間予想まとめ

 

●1区予想:葛西潤

●2区予想:新家裕太郎

●3区予想:フィリップ・ムルワ

●4区予想:石丸惇那

●5区予想:石井大揮

●6区予想:嶋津雄大

 

 ちなみに個人的な話だが、筆者は職場の後輩と「出雲の区間予想を当てたらコーヒーとプレミアムロールケーキを買ってもらう」という契約を交わしている。

 見事的中させ、分析力の証明と優雅なコーヒータイムを手に入れたいものだ。