第34回出雲駅伝区間予想【中央大学編】

 

はじめに

 中央大学は、箱根駅伝最多出場95回、最多優勝14回、史上唯一の大会6連覇を達成したこともある名門中の名門である。しかしながら近年は優勝争いから遠ざかっており、出雲駅伝に関しては実に9年もの間大会出場から遠ざかっていた。

 中央大学は2016年に、現役時代中央大学のスーパースター選手だった藤原正和を招聘し立て直しを図ると、昨年の全日本大学駅伝では10大会ぶり、箱根駅伝でも10年ぶりのシード権を獲得し復活を印象付けた。

 

藤原正和中央大学陸上競技部監督

 

 出雲駅伝は、箱根駅伝のシード校がそのまま関東地区の出場校になり、久しぶりの出雲路を駆け抜ける。

 

 

区間配置の傾向

 出雲駅伝は通称スピード駅伝と呼ばれ、他の三大駅伝と比較して走行距離が短い。

 

出雲駅伝(45.1km)】

 1区8.0kmー2区5.8kmー3区8.5kmー4区6.2kmー5区6.4kmー6区10.2km

 

全日本大学駅伝(106.8km)】

 1区9.5kmー2区11.1kmー3区11.9kmー4区11.8km

 5区12.4kmー6区12.8kmー7区17.6kmー8区19.7km

 

箱根駅伝(217.1km)】

 1区21.3kmー2区23.1kmー3区21.4kmー4区20.9kmー5区20.8km

 6区20.8kmー7区21.3kmー8区21.4kmー9区23.1kmー10区23.0km

 

 距離が短い駅伝なだけに、前半で遅れたチームが後半巻き返すのはなかなか難しく、前半区間に力のある選手を配置するのがセオリーとなりつつある。一方、外国人留学生などの大砲を持っているチームは、アンカーにその大エースを添えて、前半区間で耐えてラストで逆転するオーダーを組む場合もある。

 中央大学は過去9年間出雲駅伝の出場がないため、藤原監督の区間配置が読めないのだが、選手の距離適性と箱根&全日本の区間配置から読み切るしかない。

 懸念はエースの吉居大和。夏の怪我で調整が遅れている雰囲気があるので、主要区間を回避して繋ぎ区間で走るのか、もしくは全日本に合わせて調整させ出雲は見送るのか。エントリーメンバーに入れてきた以上出走の可能性はあるので、このあたりも含めて予想していきたい。

 

 

区間予想

 以上を踏まえたうえで、各区間区間予想をしてみる。なお、既に発表された今回のエントリーメンバーは以下の通り。この10名の中から6人が走ることになる。

 

 【4年生】千守倫央、若林陽大

 【3年生】中野翔太、湯浅仁、吉居大和

 【2年生】阿部陽樹、東海林宏一、山平怜生

 【1年生】溜池一太、吉居駿恭

 

 

●1区予想:吉居駿恭

 

吉居駿恭(1年生)

 

 中央大学期待の一年生。高校駅伝の頃から駅伝で大外しすることが少なく、トラックでも自己記録を更新しているので調子も絶好調。全国高校駅伝で1区も走っていることから集団走の対応も問題ないのかなと考えている。

 ここで1区の適性を見せれば、全日本や箱根でも1区出走の選択肢に吉居駿が挙がってくる。そうすれば箱根で吉居大和を3区に起用できたり選択肢の幅が広がる。

 

 

●2区予想:千守倫央

 

千守倫央(4年生)

 

1年生の頃から箱根駅伝メンバーに選ばれ、将来のエースとして期待されていたものの、3年生の昨年は結果が出ず、陸上を辞めるどん底を経験する。今年の箱根駅伝で6位と復活した中央大学だったが、出走メンバーに入ることはできなかった。

 しかしながら今年はそのどん底から鮮やかに復活。1,500mで自己記録を連発し、5,000mにおいても日体大記録会で13分49秒41の自己記録を更新。乗りに乗っている。個人的に千守復活はかなりの胸熱展開。

 

 

●3区予想:中野翔太

 

中野翔太(4年生)

 

 今年最も伸びたと言えるであろう中央大学のエース。10,000mは28分00秒の自己記録を更新し、出る大会出る大会ことごとく結果を出し続けている。

 3区は出雲駅伝におけるエース区間であり出遅れが許されない区間で、「序盤で出遅れたら戦国駅伝を勝ち切るのは難しい」と多くの監督が口にしている通り、他大学も自軍最高の選手を3区に投入してくる展開が予想される。彼らに対抗するなら中野翔太を惜しみなく投入してくるのではないだろうか。

 

 

●4区予想:溜池一太

 

溜池一太(1年生)

 

 期待の1年生2人目。吉居駿恭とは全国高校駅伝1区を走り、区間賞を争った・

 直近の試合で5,000mで自己記録を更新するなど調子も絶好調で、4区ではなくともどこかの区間には間違いなく出てくるのではないだろうか。1区出走も考えたが、8.0kmという距離適性は吉居駿に軍配が上がるかなと思い溜池は4区を予想した。

 

 

●5区:阿部陽樹

 

阿部陽樹(2年生)

 

 ロードに強い適性を持つ準エース級選手。1年生の頃から昨年のチームのエース三浦拓朗(当時4年生)の練習に付いていき、箱根駅伝では山登りの5区で1年生ながら区間6位と好走した。

 5区は出雲駅伝の中ではアップダウンが多い区間で、山の対応力に加え基本的な走力も高い阿部が5区を走れば鬼に金棒なのではないか。

 

 

●6区:湯浅仁

 

湯浅仁(右:3年生)



 

 今年の箱根駅伝は最長区間の9区を走り区間3位。中央大学の10年ぶりシード権獲得に大きく貢献した。

 長い距離の適性があることは言うまでもないが、箱根は14km地点まで東京国際大学・宗像聖と競った後飛び出して、残りの10km近くはほぼ単独走で猛追する駒澤大学・山野力に影を踏ませなかった。その判断力と単独走に耐えられる精神力は、いわゆる後半区間に向いた選手であると言えるかと考えている。

 直近でも5,000mで13分台を出しており、調子も上向きなので多分出てくるのでは。

 

区間予想まとめ

 

●1区予想:吉居駿恭

●2区予想:千守倫央

●3区予想:中野翔太

●4区予想:溜池一太

●5区予想:阿部陽樹

●6区予想:湯浅仁

 

 吉居大和は万全であれば1区か3区を走っていただろうが、怪我明けの調整の関係で無理はさせないのでは?と判断し区間予想には含めなかった。

 それでも名前を挙げた選手は実力があるだけでなく直近の大会で調子を上げている選手ばかりなので、もしかしたら優勝をさらっていくかもしれない。

 

 ちなみに個人的な話だが、筆者は職場の後輩と「出雲の区間予想を当てたらコーヒーとプレミアムロールケーキを買ってもらう」という契約を交わしている。

 見事的中させ、分析力の証明と優雅なコーヒータイムを手に入れたいものだ。